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ソロギターの集いへの想い

執筆者の写真: sorotsudosorotsudo

更新日:2020年2月22日


ギターを始めたのは中学生の頃、吉田拓郎や井上陽水からだった。当時流行りのフォークソングを安物のギターをかき鳴らしながら声を張り上げて歌うのが楽しくて仕方なかった。

でも世の中にはMartinという高級ギターがあると雑誌で読んでから・・・Martinギターが夢だった。


やがて社会人となり、給料を貯め、夢だったMartinを手に入れる。その頃地方都市に住んでいた私は、本物のMartinを手に触れた事すらなく、町の小さな楽器店でただカタログだけを見て買ったギターがMartin D-41。そのギターは今思えば奇跡的な事だが、私の手元に31才の誕生日の日に届く。

夢のギターが手に入ったことが嬉しく、また昔のようにフォークソングを歌う・・・はずだった。でも、その当時はとにかく仕事が忙しく、せっかく買ったギターだが、かえりみる時間と気持ちの余裕は全く無く、とにかく日々、仕事・仕事・仕事、そして時々家族・・・。


ギターはケースに入ったままに、長い長い年月が流れた・・・。


ある日仕事に疲れ果て、何もかも投げ出してしまいたいと部屋にこもっていた時、フッと”気分転換にギターでも”と部屋の隅にあるギターを手に取った。

ジャラーンと弾いた瞬間に、自分の中で何かがはじけた。甘い音がフワリと体を包み込む。体が浮いているような感覚・・。とにかくギターの音が心地よい。音だけを聞いていたくて久しぶりに弾くおぼついた指先で意味のないアルペジオをずっと弾いて・・・涙が流れた。

それは、ギターを買ってから既に17年を経ていた。

その音は、若い頃に聞いたのと同じ”音”だったはず。でも17年の歳月は自分とギターを変えていた。つらいこと、苦しいこと、そして時々楽しい事を経て、仕事に疲れ果てた自分には涙が出る程に美しく、優しい音だった。やっと自分はギターの音にちゃんと触れたのだと思う。そして同時に気づいた。時を経ないと分からない事はあるのだと。


それから、歌う事よりギターの音が聴きたくて、ソロギターを始めた。

ギター教室に通い始め、ソロギターサークル OpenGに参加して色んな人のギターの音に触れて、更に気づいた事がある。言葉が無く、音だけだからこそ心に染みてくる事がある。歌に人それぞれの個性があるように、音に人それぞれの個性がある。

上手、下手だけではなく、単純なメロディでも音の中にその人が長い年月の中で重ねてきた何かがあって、言葉がじゃまをしないからこそ染みてくる何かがある。

もっとギターが上手くなりたいとは思う。でも急がなくてもいいではないか、17年かかってもいいのだと思う。自分のペースで自分の音を磨けばいいではないか。色んな人のギターの音を聞きながら、一緒に上手くなって行きたいと思った。


そしてソロギターサークル「ソロギターの集い」を立ち上げた。ただ、ただ・・・・ギターの音が好きです。

 
 
 

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